GMOインターネットグループは11月2日午後、東京で不正アクセス後初の記者会見を開いた。熊谷正寿会長兼社長は、「お名前.comデスクトップクラウド」で最大2万6,739台の仮想マシンが影響を受けた可能性を示し、約80億円の要求には応じない姿勢を重ねて示した。北朝鮮系集団の関与については「国の名前もその他のことも一切」言及を避け、10月24日に政府へ要請した能動的サイバー防御は会見時点で適用に至っていない。

8月5日の侵入から10月の発覚までの経路

同社の説明によれば、攻撃者は8月5日に顧客の仮想専用サーバーを突破して管理者アカウントを窃取し、8月17日に管理サーバーへ到達した。9月20日から10月14日にかけて顧客のVPSにマルウェアが配布され、10月19日から20日の顧客からの問い合わせで発覚した。リモートデスクトップのドライブ共有を通じて利用者のPC上のファイルが露出した可能性も認めている。攻撃手法の詳細は、模倣と捜査への影響を理由に伏せられた。

10月21日に約80億円の要求を受け、10月23日20時以降は攻撃者との接触が途絶えているという。熊谷氏は「私達は一歩たりとも犯罪者にお金を払うことはしない」と述べ、最大100万ドルの懸賞金には11月2日18時までに約735件の情報が寄せられたとされる。子会社のGMOサイバーセキュリティ byイエラエが2024年4月に指摘した弱点については、同年5月20日までの4件の緊急対応が「十分でなかった」と認め、指摘が経営層に届かなかったと説明した。

帰属は「しかるべき機関」に報告、専門家は懐疑

共同通信が伝えた北朝鮮系集団の関与について、熊谷氏はセキュリティ企業の有志(元ICPOの情報担当者を含む)が技術分析を行い、「そのデータをしかるべき機関にきちんと報告をさせていただいております」と述べる一方、国名を含む一切の評価を避けた。したがって北朝鮮の関与は、報道と同社による当局への報告という段階にとどまり、同社も政府も公式に確認した事実とは言えない。

TBSの報道では、Unknown Technologiesの桐敷氏が「北朝鮮と言い切るには弱い」と指摘し、日本ハッカー協会の杉浦隆幸氏は、一社に執着して公然と身代金を要求する手口から「素人の犯行」とみる見解を示した。国家の関与の有無は、能動的サイバー防御の初適用の判断と補償の性格の双方に影響するため、政府の帰属判断の行方が焦点となる。

全額補償と「サイバーイージス」の提案

補償では、FX取引の不正による実損を全額補償する方針を示し、手続きは11月6日までに公表する。全顧客への5,000円の見舞金に加え、個人情報の漏えいが確認された場合は最大300万円の特別見舞金を支払い、代替サービスを6か月無償とする。熊谷氏を含む役員4人は12月支給分から3か月、月額報酬の20〜30%を減額し、熊谷氏は辞任を否定した。

政策面では、通信事業者が疑わしい海外IPを即時に遮断する「サイバーイージス」構想を高市政権に提案したいと述べ、AIを用いた攻撃を「拳銃から機関銃」への変化にたとえた。10月24日に同社が要請した能動的サイバー防御は、会見時点で適用されていない。民間企業が制度の初適用を公然と求め、政府が判断を保留する構図は、同法の運用基準を具体化する最初の事例になりつつある。

出典一覧

一次資料

  1. 4

    【重要】お名前.com デスクトップクラウドサービスに対するサイバー攻撃について(第4報)

    一次資料GMOインターネットグループ · 2026.10.24

    出典確認 2026.11.03

    GMOインターネットグループ · 外部サイト

報道

  1. 1

    GMO会見、サイバーイージス構想と全額補償|お名前.com デスクトップクラウド不正アクセスで残った問い

    報道Innovatopia · 2026.11.02

    出典確認 2026.11.03

    Innovatopia · 外部サイト
  2. 2

    “北朝鮮ハッカー関与の可能性”に専門家からは懐疑の声も…不正アクセスでGMO社長が涙の初会見「犯罪者にお金払わない」【Nスタ解説】

    報道TBS NEWS DIG(配信) · 2026.11.02

    出典確認 2026.11.03

    TBS NEWS DIG(配信) · 外部サイト
  3. 3

    GMO 熊谷社長「指摘を生かすことできず」と陳謝

    報道NHK · 2026.11.02

    出典確認 2026.11.03

    NHK · 外部サイト

前報: GMO不正アクセス、北朝鮮系集団の関与の可能性を政府に報告と報道 被害者を集める偽サイトも浮上、2日に初の会見

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この記事の引用

AI & Security Observatory(2026-11-02)「GMO熊谷社長が初会見、最大2万6,739台の仮想マシンに影響と説明 国名への言及は避け、能動的サイバー防御は未適用」『AI & Security Observatory』、第1.0版、最終更新2026-11-03。https://ai-security-observatory.org/ja/brief/brief-20261103-02/

AI & Security Observatory (2026-11-02). GMO's Kumagai holds first press conference: up to 26,739 virtual machines affected, no country named, and active cyber defence not yet applied . AI & Security Observatory, version 1.0. Updated 2026-11-03. https://ai-security-observatory.org/en/brief/brief-20261103-02/

版 1.0 · 公開日 2026.11.02 · 最終更新 2026.11.03

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