米連邦請求裁判所のフィリップ・ハジ判事は、海軍が中型無人水上艇(MUSV)計画の洋上試験段階からSaildroneを排除した評価について、他社に適用しない基準を同社にだけ当てた「差別的な扱い」であり「恣意的かつ気まぐれ」だと判断した。海軍は再評価を終えるまで21億ドルの計画のうち15億ドルを超えて支出できない。Saildroneは2日の発表で「不法に排除された」との判断を得たと述べ、意見書は3日付とされる。
3項目すべて「不適合」とした評価の崩れ方
海軍は2026年3月26日、2025年7月の財政調整法で手当てされた資金を使い、「その他の取引(OT)」試作権限でMUSVの公募を出した。40フィートコンテナ2個と25トンの搭載物を積み、海況4で25ノット、2,500海里を航行できる量産可能な艇が要件である。5月に7社が洋上試験に選ばれ、SaildroneとBlue Water Autonomyは外れた。海軍はSaildroneを3つの評価項目のすべてで不適合としたが、同社の異議申立て後に2項目の判定を撤回し、残る1項目について裁判所は、他のどの応札者にも適用していない基準を当てたと認定した。
併合審理されたBlue Water Autonomyの異議は、排除に合理性があるとして退けられた。裁判所は10月29日に管轄権を争う政府の申立てを却下しており、本案でも政府側の主張を認めなかった。判決の核心は無人艇の技術評価そのものよりも、同じ基準を全応札者に等しく適用したかという手続きの公平性にある。
生産契約済みの3社と凍結された6億ドル
海軍は9月29日にGalliano Marine Services、HII、Saronic Technologiesの3社へ各10艇、1艇約4,000万ドルの生産合意を与え、試験を通過したLeidos、PacMar Technologies、Sea Machinesには各1,500万ドルを配分していた。Birdonは試験に通らなかった。判決により海軍はMUSV建造に15億ドルまでしか支出できず、約6億ドルが凍結される。Saildroneは洋上実証の機会を改めて得るが、再評価の期限は示されていない。両社は9月23日に出た第2次MUSV公募への参加資格を保持する。
創業者のリチャード・ジェンキンスCEOは「海戦の未来は法廷の外、海上で争われる」と述べ、「公正な競争、納税者、国家安全保障にとっての勝利」と評した。海軍はNew York Timesの取材に即答せず、10月時点でも訴訟へのコメントを避けていた。
OT権限による高速調達への司法の歯止め
MUSVは海軍が無人艇の量産を急ぐ看板計画で、OT権限は連邦調達規則の手続きを省いて民間の新規参入者を取り込むために使われている。今回の判決は、OT契約であっても応札者間の平等な取扱いが司法審査の対象になることを示し、スピードを優先する調達改革に手続き面の制約を課した。生産合意を受けた3社の建造は15億ドルの枠内で続くため、計画全体の遅れは限定的と見込まれるが、再評価の結果次第で第2次公募の構図は変わりうる。
出典一覧
報道
- 1
Saildrone Beats the Navy in Court Over a $2.1 Billion Drone Boat Snub
出典確認 2026.11.04
DroneXL · 外部サイト - 2
Court Orders Navy to Reevaluate Saildrone in MUSV Competition
出典確認 2026.11.04
Ocean News & Technology · 外部サイト - 3
Judge Finds For Saildrone In Lawsuit Over MUSV Rejection, Directs Navy To Reevaluate
出典確認 2026.11.04
Defense Daily · 外部サイト
関連資料と分析
背景
明示された関連付けはありません。
根拠
明示された関連付けはありません。
続報・後続版
明示された関連付けはありません。
関連する論点
この記事の引用
AI & Security Observatory(2026-11-02)「米連邦請求裁判所、海軍の中型無人艇競争からのSaildrone排除を「恣意的」と判断 約6億ドルの支出を凍結」『AI & Security Observatory』、第1.0版、最終更新2026-11-04。https://ai-security-observatory.org/ja/brief/brief-20261104-04/
AI & Security Observatory (2026-11-02). US Court of Federal Claims finds the Navy's exclusion of Saildrone from the MUSV competition 'arbitrary and capricious', freezing about $600 million of the $2.1 billion programme . AI & Security Observatory, version 1.0. Updated 2026-11-04. https://ai-security-observatory.org/en/brief/brief-20261104-04/
版 1.0 · 公開日 2026.11.02 · 最終更新 2026.11.04
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