OpenAIは2日夕(米国時間)、8月に米陸軍長官を辞任したダン・ドリスコル氏を新設の「国家安全保障近代化担当上級顧問」に迎えると発表した。先端AIが国家安全保障とサイバー安全保障をどう強化するかについて経営陣と外部パートナーに助言し、同盟国との責任ある利用の推進を重点とする。ヘグセス国防長官との関係悪化が報じられて政府を離れた陸軍改革の推進者が、Pentagonの主要AI供給者の一つへ移る人事である。
新設ポストの担務と本人の言葉
発表文によれば、同氏は「各国政府、産業界、学界、同盟国の機関の指導者と協働し、民主的AIの構築を支える実務的な近代化の取り組みを進める」とともに、「世界の国家安全保障機関の運用上の要請を社内のチームが理解する」手助けを担う。ドリスコル氏は「国家安全保障上の要請は過去半世紀のどの時期よりも速く変化している」と述べ、AIが軍に「書類仕事を切り抜け、より多くの情報を理解し、正しい答えをより速く正しい人に届ける」ことを可能にするとした。
アルトマンCEOは「米国のリーダーシップを強化し」、他国と協力して「民主的AIの採用を広げる」ために同氏を迎えると歓迎した。「同盟国」と「責任ある利用」を前面に出す担務は、米政府との単独取引から同盟国市場への展開へと重心を広げる同社の政府事業の方向を示している。本人は「米国と同盟国がこの技術を、私たちを守る人々のために責任を持って活用する」手助けをすると述べた。
陸軍改革の推進者からAI企業へ
ドリスコル氏は陸軍長官として陸軍変革構想(Army Transformation Initiative)、無人機と対無人機の調達市場、そして「作戦ジェイルブレイク」と呼ばれる調達慣行の見直しを推し進めた。8月下旬にヘグセス長官との数か月にわたる緊張関係が報じられた末に辞任し、その後は対無人機企業Perennial Autonomyと広報戦略会社Watchtower Strategyの顧問を務めていた。無人システムの大量調達を主導した当事者が、その調達先の一角を占めるAI企業に入る回転ドアである。
Anthropic排除後の政府事業の広がり
OpenAIは2025年6月に国防省の首席デジタル・AI局(CDAO)から最大2億ドルの試作契約を獲得し、今年8月には政府向け生成AI基盤GenAI.milで同社の承認済みモデルが利用可能になった。Breaking Defenseによれば、軍がAnthropicのモデルの無制限の利用を求め、同社が拒否した対立の後、国防省は機密ネットワークへのAI統合をOpenAIを含む他社へ振り向けた。利用条件をめぐりPentagonと距離を置いた企業と、元長官級を迎えて同盟国へ展開する企業という対比が、国防AI市場の構図として固まりつつある。
出典一覧
一次資料
- 1
Dan Driscoll joins OpenAI
OpenAI · 外部サイト
報道
- 2
- 3
関連資料と分析
背景
明示された関連付けはありません。
根拠
明示された関連付けはありません。
続報・後続版
明示された関連付けはありません。
関連する論点
この記事の引用
AI & Security Observatory(2026-11-02)「OpenAI、8月に辞任したドリスコル元陸軍長官を「国家安全保障近代化」担当の上級顧問に起用 同盟国との協業を担務に」『AI & Security Observatory』、第1.0版、最終更新2026-11-04。https://ai-security-observatory.org/ja/brief/brief-20261104-03/
AI & Security Observatory (2026-11-02). OpenAI hires Dan Driscoll, who resigned as Army secretary in August, as senior counselor for national security modernization with a brief to work with allies . AI & Security Observatory, version 1.0. Updated 2026-11-04. https://ai-security-observatory.org/en/brief/brief-20261104-03/
版 1.0 · 公開日 2026.11.02 · 最終更新 2026.11.04
改訂履歴
- 過去の改訂履歴は未記録です。