英空軍参謀長のハーヴ・スマイス空軍大将は10月26日、ロンドンの王立防衛安全保障研究所(RUSI)でのトレンチャード記念講演で、タイフーン戦闘機1機にAI対応の無人機4機を随伴させ、数百マイル先を哨戒させる構想を示した。最初の試験は来年、実戦配備は2020年代末を見込み、「現代の範型は血肉に代わる自律(autonomy, not flesh)でなければならない」と述べた。構想の受け皿は7月に命名された3億ポンドのStorm Fighter計画であり、現時点では開発計画の段階にある。

Storm Fighterと4機随伴の構想

構想の中核は、有人戦闘機1機あたり4機の無人随伴機である。スマイス参謀長は、無人機が「戦力増幅の機能と、われわれが切実に必要とする手頃な量」を提供すると述べ、最初の試験を来年、配備を2020年代末とした。この時期設定は、NATOが2030年までにロシアとの戦闘に備えるよう求めていることと対応しており、ストリーティング国防相は「任務の完了まで1,000日余り」と表現している。

Storm Fighterは7月の国防投資計画で命名された協働戦闘機(CCA)計画で、政府投資は約3億ポンド、早期実証機は2027年に飛行する可能性があると報じられる。専門誌はBAE SystemsとBoeingが関心を示していると伝えるが、契約の有無は公表されていない。

人の役割は境界設定に移る

講演の論点は編成にとどまらず、指揮統制における人の位置づけに及ぶ。参謀長は「AIは人間の理解をはるかに超える速度の戦争を可能にし、われわれの役割は外側へ、すなわち活動の統制と防護柵の設定へと移る」と述べ、「有人プラットフォームだけではもはや足りない」と断じた。背景には人員の減少があり、英空軍の訓練済み要員は2020年の29,800人から現在27,850人に減っている。

ウクライナについては「自律航空システムがロシアの聖域意識を日常的に突き崩している」と評価し、ガーディアン紙は関連する先例として、今春のイラン戦争初日に米軍がMaven Smart Systemで1,000の標的を識別・攻撃したとされる報道や、イスラエル軍のLavender・Gospelの使用を挙げている。

既存能力と構想の距離

Defence Mattersは、4機随伴は英空軍の既存能力を示すものでなく、Storm Fighterは依然として開発計画であると強調する。同誌は対象機をタイフーンとF-35の双方とするが、ガーディアン紙の記述はタイフーンに限られ、この点は資料間で食い違う。英空軍は電子戦無人機Storm Shroudや陸軍ヘリと連携する自律航空機も進めており、今回の講演はそれらを一つの運用像に束ねたものと読める。したがって確認できるのは、約3億ポンドの計画予算と来年の試験という日程であり、機数、調達規模、運用上の自律の程度は公表されていない。

出典一覧

一次資料

  1. 1

    Chief of the Air Staff delivers Lord Trenchard Memorial Lecture

    一次資料RUSI · 2026.10.26

    出典確認 2026.10.28

    RUSI · 外部サイト

報道

  1. 2

    'Autonomy, not flesh': RAF chief outlines AI drone-powered future

    報道The Guardian · 2026.10.26

    出典確認 2026.10.28

    The Guardian · 外部サイト
  2. 3

    RAF Plans AI-Powered Combat Drones to Accompany Typhoon Fighters in Major Shift Towards Autonomous Warfare

    報道Defence Matters · 2026.10.27

    出典確認 2026.10.28

    Defence Matters · 外部サイト

掲載号を読む

関連資料と分析

背景

明示された関連付けはありません。

根拠

明示された関連付けはありません。

続報・後続版

明示された関連付けはありません。

関連する論点

この記事の引用

AI & Security Observatory(2026-10-26)「英空軍参謀長、タイフーン1機にAI無人機4機を随伴させる構想を提示 試験は来年、配備は2020年代末」『AI & Security Observatory』、第1.0版、最終更新2026-10-28。https://ai-security-observatory.org/ja/brief/brief-20261028-04/

AI & Security Observatory (2026-10-26). RAF chief sets out four AI-enabled drones per Typhoon, with tests next year and service entry by the end of the decade . AI & Security Observatory, version 1.0. Updated 2026-10-28. https://ai-security-observatory.org/en/brief/brief-20261028-04/

版 1.0 · 公開日 2026.10.26 · 最終更新 2026.10.28

改訂履歴
  1. 過去の改訂履歴は未記録です。